太陽光発電の打ち合わせ 蓄電池導入する人が増えているが本当に元を取れるのか?

再エネ賦課金の馬鹿馬鹿しさから太陽光発電の検討を始めることにしました。

https://kenmin.biz/solar/190211-2

一括見積サイトに登録すると3社を紹介してくれ、先日1社目と打ち合わせを実施したのですが営業の方曰く、最近では太陽光発電と同時に蓄電池も導入する方が増えてきているとの事です。 見積も蓄電池有り無しのパターンで提示してくれました。その時は良くわからなかったのですが蓄電池を導入してコストを回収できるのか計算してみました。

太陽光発電に蓄電池を連携する

蓄電池を家庭に導入した場合、使用するパターンとしては次の2つがあります。

(A)夜間電力で充電して昼間放電

単価の安い夜間電力を使い充電して単価の高い昼間の電力を賄おうとするものです。

(B)太陽光発電で使い切れなかった電力で充電、太陽光で発電しなくなったら放電

太陽光発電で発電した電力は自家で消費し余った分を蓄電池に充電、発電しなくなった日没後に放電して使用するというパターンです。 太陽光発電と相性がいいというのはこのパターンの事を言うのでしょうね。

 

各パターンにおける年効果額

では上記の2パターンで使用した場合の年間での効果額を計算します。 前提として我が家の電気契約は東京電力の電化上手ですので2019年2月現在は以下のような単価内訳です。

区分 単価(円/KWh) 適用時間
昼間 31.73 10時~17時
昼間(7-9月) 38.72 10時~17時
朝晩 26.01 7時~10時、17時~23時
夜間 12.25 23時~7時

また蓄電池は現時点で家庭用の一般的な容量である5KWhとし、1回の充放電は80%の容量に収めることを前提とします。100%の充放電をしない理由は蓄電池のリチウムイオンバッテリー(スマホに使用されているものと同じ)は放電深度が深いと(0%に近づくと)寿命に悪影響がでるのでバッテリーを使い切らないようにするのが長持ちさせる工夫だそうです。

実際にはロスがあるため充電電力量=放電電力量とはなりませんが計算を簡単にするためロスは無いものとして計算します。

(A)夜間電力で充電して昼間放電

この場合、夜間電力で充電し朝晩に使用するので年間の効果額は (26.01―12.25) * 5 * 0.8 * 365=20,090円/年

充放電の単価の差額が重要になります。

(B)太陽光発電で使い切れなかった電力で充電、太陽光で発電しなくなったら放電

この場合、太陽光発電での売価が重要で今年度でしたら24円/KWhです。太陽が沈んでから放電するとすれば朝晩料金の時間帯での放電ですので

(26.01―24) * 5 * 0.8 * 365=2,935円/年

全然効果がありません。10年間は固定の単価で買い取ってくれるので導入から10年間は(B)のパターンで蓄電池を利用しても効果はほぼ無いことになります。

 

蓄電池の投資を回収できる年数

今回提示を受けた見積もりでは5KWhで80万円でした。現時点ではこの辺が相場なのでしょう。 この投資を回収できる年数は(A)の場合で 800,000円÷20,090円/年=40年

全然元を取れません。そもそも40年も蓄電池持たないでしょう。

(B)のパターンでは計算はしません。年効果額が2千円ですから。蓄電池に充電するより売電した方が良いです。

固定買い取り期間が終了したら

10年間の固定期間が終了した後、電力会社がいくらで買い取りしてくれるかはまだ決まっていません。一説では11円/KWhあたりが予想されているようではありますが決定事項ではありませんし買い取り拒否となる可能性もあります。

蓄電池導入の効果としては充電単価と売電単価の差額が利いてきますので10年後、買い取り拒否となった場合を想定して(B)のパターンを計算してみます。

朝晩時間に放電するとして 26.01 * 5 * 0.8 * 365=37,975円/年

最大の条件で計算しても年間4万円に達しません。 一応、投資回収年数は 800,000円÷37,975円/年=21年

20年も経過すれば蓄電池の買い替えになるでしょう。

 

結論:蓄電池の投資効果は無い

1)以上から蓄電池を導入しても現時点(2019年2月)での投資対効果は無い2)固定買い取り制度があるうちは充電するよりも売電する方がメリットが大きい。 3)導入するとしたら固定買い取り制度が終了する10年後が充電単価と売電単価の差額が最大化するので少なくとも10年間は不要。 4)10年後には蓄電池容量と価格が現在よりも数段改善されているはずなので10年後に再度計算して導入の検討をすれば良い

 

以上から、太陽光発電と同時に蓄電池を導入することはしません。少なくとも10年間は素直に自家で使い切れなかった電力は売却するのが良いと思います。 10年後は検討する価値はあると思いますがその時のバッテリーの容量と価格によっては導入してもいいかもしれません。

私は導入を見送りましたが蓄電池の普及は広がってほしいです。そうすればスケールメリットで価格は下がりますし技術の向上も加速してくれると思いますので。

<PS> ざっくりの計算ですが、10年後に容量倍になれば自家で使い切れなかった分の大部分を充電に回せそうです。更に価格が半分になれば回収期間は21年の1/4になるので5年位になって一気に普及するのではないかと思います。勝手な希望的観測ですが10年後に10KWhで40万円になるような技術のブレイクスルーを期待します。

(追記:2019-02-16) 太陽光発電と蓄電池の相乗効果について誤った認識をしていましたので計算しなおしています。

https://kenmin.biz/solar/190216